ビーシュリンプ水槽を立ち上げた後、立ち上がりの目安として苔の発生を重要視している方が多いと思います。
一般的なアクアリウムでは苔は邪魔な存在であることが常識なのに、ビーシュリンプ飼育ではどうして苔を生やすことに着目しがちなのでしょうか。
今回は、ビーシュリンプ水槽での苔の発生が重要視される理由と、苔を取り除いて良いのか悪いのかについて解説します。
水槽に発生する苔は4種類
水中に発生する苔は生物学的に見ると同じ種類の苔の中でもさらに細かく分類されているものですが、ここでは一般的なアクアリウムでいう水槽に発生する苔4種として解説していきます。
珪藻類
珪藻はいわゆる茶苔で、主に水槽の立ち上げ初期に多く発生する苔です。
珪藻は柔らいためビーシュリンプも好んで食べてくれます。
緑藻類
緑藻は一般的に緑色をした苔の総称で、水質が安定してきたころに発生しやすくなるため、立ち上がりの目安としている人も多いです。
ガラス面や流木、水草の葉などいたるところに生えますが、うっすらと絨毯のように生えるものや、糸状のもの、水草の硬い葉や器具などにスポット的に発生するものなど、たくさんの種類があります。
生え始めたばかりの柔らかいものはビーシュリンプも多少食べてくれますが、時間が経って成長したものに関してはビーシュリンプの腕力では引きちぎることができないので、好んで食べてくれることはあまりありません。
紅藻類
紅藻は姿や形は緑藻に似たものも多いですが、緑藻に比べて頑丈なため、ビーシュリンプが手をつけることはほとんどありません。
貧栄養状態のヤマトヌマエビの大群の中に放り込んでしまえば、嫌々ながらきれいに食べ尽くしてくれることもありますが、あまり好みではないようです。
藍藻類
上記の三つの苔とは明らかに違いがわかる苔で、一応植物として分類されてはいますが、シアノバクテリアと呼ばれる細菌の一種で、海苔状のべっとりした姿が特徴です。
この苔に関しては環境悪化が原因で、この苔が発生しているような水質ではビーシュリンプの飼育は無理といっても良いでしょう。
ビーシュリンプ水槽に発生する苔の重要度
水槽に発生する苔はビーシュリンプの餌になったり微生物の住処となるため、苔は落とさずに残しておいた方が良いという方が多いと思います。
一般的なアクアリウムの考えでは苔は景観を悪くする邪魔な存在でもあり、中には苔を落としてきれいな景観を保ちたいと考える方も多いと思います。
▼水槽の立ち上がりと苔の関係性について詳しく解説していますので是非ご覧ください。
ビーシュリンプ水槽に生える苔は、ある意味必要悪であると言えますが、苔以外にも状態を知る方法はたくさんあるので、個人の判断によります。
とはいえ、水草レイアウト水槽のように、苔の発生を抑えるような頻繁なメンテナンスは、ビーシュリンプへの負担も大きいので、適度にメンテナンスを行うのが良いと言えます。
ビーシュリンプ水槽の苔は水槽内環境の良し悪しを図る目安
長くアクアリウムを楽しんでいる方は、水槽を立ち上げてしばらくすると茶色い苔が生え始め、ろ過が効いてだんだんと水質が良くなっていくにつれて緑色の苔が出てくるのを経験していると思います。
ビーシュリンプ水槽でも同じで、立ち上げ初期の不安定な時期に珪藻が出始めて、安定期に向かうにつれてきれいな緑色の苔が出てくる頃が立ち上がりの目安と判断している方も多いと思います。
緑色の苔が出ているのに途中から茶色い苔が出始めたら要注意
逆に、緑色の苔が出ていたのに急に茶色い苔が多くなり、水がどんよりし始めたら何かしら問題が発生しているサインなので、なるべく早めの対処が必要になります。
基本的な対処方法は次の通りです。
- 換水ペースを上げる
- 餌を減らす
- 個体数を減らす
- 濾過器のメンテナンス
- 照明の劣化を疑う
対処法は特に難しいことはなく、アクアリウムにおける基本的なメンテナンス方法でほぼ改善します。
稀に照明が弱すぎると茶色い苔が出てくることがあるので、上記のメンテナンスを行っても、再度茶苔が発生するようであれば照明を疑ってみても良いでしょう。
それでも改善しない場合は、ソイルの劣化が疑われるので、何年も維持している水槽であればリセットした方が良いでしょう。
苔が出ない水槽は良くないの?
水槽の状態によって苔が出やすい水槽とそうじゃない水槽がありますが、苔が出ないからといって問題があるかどうかは、実際のエビの動きで判断できるのでそれほど重要ではありません。
苔も植物ですから(光・養分・二酸化炭素)この3つの条件が揃わないと多く発生することはなく、養分の少ない吸着系ソイルで生体がほとんど入っていない水槽では苔はあまり出ない傾向にあります。
苔はきれいに掃除しても全く問題はない
ビーシュリンプは草食寄りの雑食性で苔もよく食べてくれるので、苔を残しておいた方が良いという人も多いですが、水槽の中には苔以外にも水草の新芽や根などに発生する微生物なども良く食べています。
実際に苔はガラス面や器具以外にも生えますし、ソイル面にも生えます。苔の発生状況はビーシュリンプ飼育にとって現在の水槽の状態を知る上で重要な判断材料となります。
発生する苔は清掃しても問題ない
基本的に、生えている苔についてはすべて落としてしまっても全く問題ありません。苔も成長して硬くなってしまうと、ビーシュリンプは食べてくれないので、なるべく苔が出ないようにしたいと考える人も多いと思います。
ですが、上記にも上げた通り、苔の発生を強制的に抑えるメンテナンスを行うのではなく、余分な栄養素を吸収し、苔の繁殖を自然に抑制してくれる水草などを利用する方法がお勧めです。
ビーシュリンプ水槽の清掃の方法
水槽に直接手を入れるのは、衛生上よろしくないと言われています。特に水温が高くなる夏季は、水槽内に雑菌を持ち込と水質悪化を招く原因にもなります。
苔掃除などの簡易的なメンテナンスについては、直接手を入れずにできるアイテムがお勧めです。
「結論」ビーシュリンプ水槽の苔掃除はしてもしなくても良い
ビーシュリンプ飼育の安定感を図るには、苔の状態を見るのが最も簡単な方法です。
とはいえ、苔を掃除してしまったら水槽の状態がわからなくなるかと言ったらそうではありません。
ビーシュリンプの動きや餌寄り、繁殖状況など、得られる情報はほかにもたくさんあります。したがって、飼育に慣れてきたら掃除をしてきれいにしてしまっても問題はありません。
たとえ苔を落としてしまったとしても、調子の良い水槽なら1~2週間もすればまたきれいな緑色の苔が生えてきますので、それを判断材料にするのでも良いです。苔の生え方やスピードに変化が出てきたころがメンテナンスやリセットのタイミングと判断もできるので、是非参考にしてみてください。
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