水草水槽にCO2を添加すると、難しい水草でも美しく繁茂させることができるようになることを多くの人が知ってから、かなりの年月が経ちます。
ADAの故天野氏は、まだ水草水槽にCO2を添加するのが一般的ではない時代に、CO2を入れたらきれいに育つのではないかというところに着目し、試しに水槽に炭酸水を入れてみたところ、驚くほど成長速度が早くなったそうで、当時水槽の周りには炭酸水の空き瓶が多数転がっていたとか。
ビーシュリンプと水草って、切っても切り離せないほど相性の良いものですが、グロッソスティグマやキューバパールグラスなどの多少難易度の高い水草を育てるには、CO2なしでは中々難しいところだと思います。
そこで、CO2を添加してきれいに育てたいと考えると思いますが、ビーシュリンプ水槽でのCO2添加は、エビが酸欠を起こすからあまりオススメできるものではないとよく言われますよね。
ですが、結論から言うと、「CO2を添加してもエビは酸欠は起こさない」です。
では、なぜビーシュリンプ水槽にCO2の添加はお勧めされていないのでしょうか。
CO2添加とエビの関係性について、ビーシュリンプ水槽レイアウトコンテスト元運営者が解説します。
ビーシュリンプはCO2を添加したら酸欠を起こすの?
基本的に、水中のCO2濃度と溶存酸素量は比例も反比例もしません。
したがって、CO2を添加したからといって、急激に酸素濃度が下がるわけではないので、水中に酸素がある内は全く問題ありません。
しかし、水草が必要とするCO2濃度を超えて添加している場合は、バクテリアやエビなど弱い順に影響が出てきますので、光量と水温、水草の量などでうまくバランスを保つ必要があります。
結局CO2は添加しても問題ないの?
適正な添加量で管理している場合は、CO2添加が直接のエビの死因になることはありません。
それどころか、CO2を添加して水草が活発に光合成を行うことにより、根の周りにはたくさんの微生物が発生し様々な生態系を作り上げていくため、水槽内に非常に良い環境ができます。
とはいえ、ビーシュリンプ水槽でのCO2添加は、適切な量を見極める必要があります。
強い照明による水温上昇に注意
本格的な水草レイアウトは、CO2の添加とセットで強い照明が必要です。
今はLEDが主体なので、昔のような蛍光灯のように熱を持つことは少ないですが、それでも水温に影響する程度の熱は発生します。
水温が上がりやすい夏の暑い時期などは、特に注意が必要です。
照明の消灯時は注意が必要
照明点灯時は、水草が活発に光合成を行い水中にたくさんの酸素を供給してくれますが、消灯時は呼吸しか行わないため急激に酸素濃度が下がります。
そのため、消灯時は曝気(エアレーションを行って水中のCO2を抜く作業)と同時に、バクテリアやエビが必要とする酸素を供給しなければなりませんが、エアレーションを行い酸素濃度が上がると同時にPHも上がってしまいます。
日中照明点灯時にPHが6.0程度でも夜間だと7.0程度まで上がることもあり、24時間でこれほどの変化があると当然エビやバクテリアにも相当な負担がかかります。
ビーシュリンプ水槽で水草レイアウトを楽しむには種類を選んだ方が良い
どうしても水草水槽でビーシュリンプをメインに飼育するのであれば、CO2を添加しなくてもある程度育つ水草を選択するか、CO2添加量を極力絞って使用すると良いでしょう。
せっかく水草水槽を楽しむなら、CO2を添加してきれいに繁茂させたいと思うのが本音ですけどね。
具体的な例を挙げるなら、石組水槽のような止水域のできにくいシンプルな草原のようなレイアウトや、CO2を添加しても少量に抑えられる陰性植物中心のレイアウトがおすすめです。

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